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CASE STUDY ケーススタディ

理想のお店のつくり方

鳥匠いし井

理想のお店のつくり方

大阪の中心地ともいえる梅田から、阪神・JRで一駅。オフィスや商業ビルも多く立ち並ぶ福島エリアは、そのアクセスのよさから近年特に注目を集めている街です。
再開発で新たな商業テナントや高層マンションが登場する一方で、昔懐かしい佇まいの商店街もその姿を残すなど、いい意味で人懐こい雰囲気も魅力の福島。メディアで取り上げられるような飲食店も集まっており、グルメの街としても人気が高まってきています。
そんな福島に、出店からわずか1年足らずでミシュラン一ツ星を獲得した焼き鳥店があります。「鳥匠 いし井」さんです。

今回は、オーナー店主である石井様に、出店するまでのさまざまを伺いました。


関西で独立するまで

ー これまでの経歴を教えていただけますか?

(石井様)千葉の焼鳥屋で3年半ぐらい修行をして、次は東京の和食屋さん、神戸の紀茂登さんと、あやむ屋さんで。

ー 最初から焼鳥の路線で修行を?

「こういうスタイルで焼鳥屋さんをやりたい」という志向が明確だったので、それに向けて焼鳥屋だけでなく、日本料理店での修行も。

ー 寿司屋のような和スタイルを取り入れた焼鳥店を最初から考えていらっしゃったので、焼鳥屋さんでの修行だけでなく、いろんなお店で修行された訳ですね。そして最後にあやむ屋さんで修行をし、独立されたと。

ー 関東と関西とでそれぞれ修行を経験されましたが、なぜ関西で勝負をしようと思われたのですか?

もともとは東京で独立するつもりでお店も決まっていたんだけど、あやむ屋さんに声を掛けてもらって。いろいろ悩んだ末、関西で試すのもいいかなぁと気持ちが変わっていったというか。
神戸にするか大阪にするかでも悩んだけれど、仕事場の三宮からいろんな時間帯やルートで帰りながら、お客さんの層や数を見て肌で感じてみると、その差が大きかったんだよ。絶対数的に大阪の方がよかった。

敢えて路地裏に設けた入り口と、隠れ家感

ー 物件探しを始めて、北新地に物件が決まりかけた時に福島でこの物件が見つかり、こちらを選ばれましたが―。

あやむ屋さんを辞めるタイミングと、物件を借りるタイミングが合わなかったこともあったんだよね。

ー ちなみにこの物件、入口がなかったと思うのですが、なぜこの物件に決めたのですか?

あやむ屋さんのおすすめということもあったよ。福島界隈にお店が増えて、物件が少なくなってきていた中で、あやむ屋さんが見つけてきてくれて。
隣が有名なお寿司屋さんなんだけど、周辺の富裕層のお客さまや、自分が望んでいる層のお客さまが来てくれそうだった。接待で使えたり、コース料理を出せたり、大阪にあまりないスタイルのお店で隠れ家的な感じを出したかったのもあったね。

(↑:着工前の外観。窓はあってもドアがなかったため、工事で開口した。)

(↑:完成後のファサード。路地裏にひっそりと灯る明かりが隠れ家感を醸す。)


ー そうした意図もあって、敢えて路地裏側に入り口を設けるプランにもつながったわけですね。
  では、物件探し中の段階からクロノバデザインにご依頼いただいたきっかけは?


東京の会社も含めていろいろ調べてはみたんだけど、例えば交通費とかいろいろ含めて検討したときに、大阪で直接かつ身近に対応してもらえるところがいいなと。もちろんデザイン的な面でも、クロノバデザインさんの飲食店以外の実績も含めていろいろ見てて、惹かれた部分があったからね。

ー ありがとうございます!!

お客さんとの距離をつくらないカウンター

ー 初めからフードのないカウンターの焼き台を指定されていましたが、かなりこだわりがあったのですか?

なによりフラットに対応ができるから。普通の焼き台だと上にダクトがついていたり、耐熱ガラスがあるのでお客さまの声が聞こえないし、料理もまわって提供しないといけないし、いろいろ不便な部分がある。
かと言って、この(フラットな)焼き台にもリスクはある。特殊だから焼くのが難しくて。だから、どっちを取るか悩んだよ。でも、毎日使っていると慣れてきて、癖も分かるようになってきた。

ー この焼き台にしてよかったですか?

今となってはもうちょっと違う方が…。(笑) 他にも格好いい焼き台を見つけちゃったんだよね。(笑)

ー そうなんですか!(笑) やはり大事にされていたのは、対話というか、お客さまと隔たりがなく会話ができるという部分ですか?

お客さまの前から出せる。何を焼いているかや、焼いているところをお客さんに見せることもできるからね。

ミシュランよりも大事なのはお客さま

ー ミシュラン掲載になるにあたっては、ミシュランの方も見に来られたと思いますが、フードのないスタイルのカウンターは、その方々にも受けはよかったですか?
≪※ミシュランガイド京都・大阪2017 において、関西で唯一、焼鳥店で一つ星を獲得。オープンして1年での快挙!≫


室内は全然関係ないんだって。…あ、ウソウソウソ!(笑)
曰く、料理がのったお皿の中の評価らしいけど。

ー 店内のしつらえは特に評価のポイントにはならないのでしょうか…。

あんまり?(笑) でも、やっぱり(評価は)全体のものでしょ。どんなにいい食材がお皿にのっていても、汚いクモの巣だらけの店で食べるとおいしいかどうかってあるでしょ? 対面式でも、僕がふてくされて恐そうに焼いていたら、どんなにいい食材でもおいしくないでしょう。だからやっぱり、全体のトータルバランスだよね。

ー 店づくりの段階からミシュランを狙っていたのですか?

ミシュランがどうかよりも、まず自分のやりたいことをやりたかった。

ー その結果がミシュランにつながればいいと?

つながったところで、実際、お客さまが増えた効果があったかどうかはわからない。ミシュランに載らなくても美味しいお店は沢山あるし、その反対も然りなわけで。結局はお客さまの評価じゃないかな。来てくれたお客さまがみな宣伝してくれたり―。

こだわりと自信を持って

実は、カウンターの予約でないと嫌だ、というお客さまも多いんだよね。テーブル席ならいい(予約しない)と言われる方もいて。

ー やはりカウンターのお店なんですね。内装のこだわりと言えば、やはりカウンターですか?

だろうね。
ちなみに、料理人が来店して「この内装、どこでやったの?」と聞かれることも多いよ。つくるときに10年後を見据えて飽きがこないような、自分が納得いくものを考えてつくってもらったので。なんせ飽き症だから。(笑)

ー 確かにつくってからも結構手を入れましたよね。

でも今の形が一番ベストかな。個室にしたかったし。

ー あとから付け足しはしましたが、最初から全体のコンセプトというか「こうありたい」というお店のイメージが明確だったので、付け加えても取ってつけたような感じにはならない。それはやはり最初に石井さんのこだわりがあったからだと思います。

ー 飲食店として成功し、それを持続させることは難しいといわれますが、石井さんのお店のように絶えず予約が入るお店になる秘訣はなんでしょうか?

石:秘訣とかは全く。ただ、お客さまとは一期一会。このお客さまはまた来るな、とかまた来てほしいなとか―。いろんな方がいるけど、でも次また来てくれると嬉しい。料理をひとくち口に入れた瞬間に「美味しい!」って言ってもらえたり、それが一番嬉しい。だから、それがいつも次につながっていくようにという想いはある。今まで人から学んだこととか、それこそ仕込みからなんだと思う。ただいい食材を使って焼いて出すというだけじゃなく、その時のお客さまとの対話も重要になってくるし。だから今の状況も狙ってやったわけじゃなくて、ただ自分が思う「店をこんな風にしたい」とか「こういうことをやりたい」ということだけを考えてここまで来たんだよね。

ー こだわりに芯があるからこうなるんでしょうね。

人と同じことはやりたくないんだよね。

ー こういった焼鳥屋さん、関西では無いですもんね。

同業者ばかり来るけど、その中でも自信を持って出せるようにはしてる。

ー いくら見に来られても真似できないようなものを、ということですかね。

いや、誰でも真似事はできるんだけどね。

ー 何か今後の展望のようなものはありますか?

なかなか人が集まらないし、2店舗目を出して人が辞めちゃったとか考えると怖いから、少なくとも今は1店舗で人を見られるほうがいい。スタッフを育てないと、自分が思うことが何も出来ないから。まだまだ出来ているわけじゃないから、そこからかな。

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PORTFOLIO 実績紹介 鳥匠いし井
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【編集後記】
大阪の担当から「関西の有名店で修行された方からの依頼があり、物件をはじめいろいろなことをご相談いただいているので、ぜひ力になりたい!」と語られました。私もそのご経歴や担当とのやり取りを聞いたり、お店のコンセプトやデザインのディレクションをするうちに、ぜひミシュランを狙えるようなお店をつくろうと発破を掛けたものです。
そしてはじめてこの物件を見に行った時、身震いしました。まだ入り口がなく窓をまたいで入りましたが、「これは絶対にいいお店になる」と確信しました。
そしてOPEN後、はじめて焼き鳥をいただいたときの美味しさ。星はともかく、間違いなく焼鳥の名店といえるお店です。(CEO)

店名 鳥匠いし井
住所 大阪府大阪市福島区福島2-3-23
Web
広さ 42.41m2 / 12.85坪 竣工 2016年

COMMENT

とても満足しています。本当にありがとうございました。(鳥匠いし井 オーナー様より)

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